創設にあたり

私は、法人設立にあたり、次の二つの点を職員に要望しました。

第一は、「特別養護老人ホームは孤独な寝たきり老人を収容する施設だ。」という暗いイメージを無くし、地域に開かれた豊かな高齢期のお年寄りが交流可能な場にしてほしい。

第二は、お世話をさせていただいたお年寄りが、天命を全うされる時、「けんちの里」で生活できて良かった、幸せな日々でした、皆さん有難う、といっていただけるような施設にしてほしい、ということでした。

幸い、役職員及び支援者の皆様の熱意と努力で、各種行事に参集してくださる市民の数も年ごとに増加し、またボランティア活動も次第に充実し、今では年間延べ4,000人を超す方々が活躍されています。創設以来、保育園、小中学校等との交流も盛んになり、幼い時から、敬老の心を培う教育にも寄与させていただいています。

見学に来られた方々から、明るく家庭の雰囲気漂う楽しいホームと好評をいただき、私の理念が実現しつつある事は、心から嬉しく感謝しています。

最後に一言申し述べたい事があります。それは精神面の問題です。職員に「福祉とは何か」と聞いた事があります。多くの人は、「思いやりの心」と答えました。私もそう思いますが、それだけでは正解といえません。正解は、毎日朝礼で斉唱している「誓いの言葉」にあるように、愛情と真心をもって生活の援助をすることです。これは、その対象となる方は、入所のお年寄りだけでしょうか、障害者の方でしょうか、あるいは自分より弱い立場にある方々でしょうか。私は思います。対象となる方は、今あなたと向かい合っている同僚を含むすべての人々なのです。
このような考え方を基本に置き、当法人は社会福祉法人竹恵会の理念に則り、最大限の努力をするとともに、利用される皆様方の生活が健康で明るく、心豊かな充実した高齢期となるように支援申し上げます。